会社員の副業、自治体で副業しやすくなる?
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤重人です。
当職は全国各地で取り組まれ拡がりつつある「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。
今日から3月です。今年もすでに2か月が経ってしましました、月日が流れるのは早いですね。年齢を重ねると余計に時の流れの速さを感じてしまします。
今回のテーマは、自治体で副業する会社員が副業しやすくなるという話題からです。
2024年2月10日付けの日本経済新聞電子版によりますと、総務省は民間企業の社員に地方自治体での副業を後押しする取組を始めるようです。
月に4日ほど自治体で働き、地域・行政の課題解決に必要なノウハウを提供してもらうことを目的に、2024年度から国が給与や交通費を補助する制度を始めるとのことです。これにより副業を通じた官民交流を促すのが狙いです。
具体的には、企業が自治体に人材を派遣する「地域活性化起業人」制度に副業型を新設して運用を始めます。
自治体のホームページ運営など主にリモート対応が可能な分野で、都市部のデジタル人材らに働いてもらうことを想定しています。
現行の制度では、企業と自治体が協定を結び、月の半分以上は受け入れ自治体に滞在して働く必要がありました。企業から要件を緩めて制度を使いやすくするよう求める声があったことから副業型の開始になったようです。
副業型は企業に所属する個人が協定を結び、月4日以上、計20時間以上を自治体業務に充ててもらいます。受け入れ自治体での滞在日数も最低月1日とし、居住の必要をなくして参加のハードルを下げていきます。
派遣人材の給与として自治体が企業に払う経費について国が1人につき最大で年100万円を補助、また、自治体への交通費や宿泊費も最大100万円まで国が助成し、特別交付税で対応していきます。
この制度では三大都市圏に所在する企業の社員を三大都市圏外などの自治体が受け入れる仕組みで、過疎化が進む自治体向けに2014年度に始まり、2021年度から対象の市町村を大幅に拡大していました。
現行の制度では2022年度に618人が368市町村で働いており、2020年度と比べて派遣数は4倍となり、派遣元の企業も前年度より3割多い252社となっています。
派遣元の企業はJTBや日本航空といった観光・交通業界が目立っています。総務省の担当者は「人手不足の解消や観光振興を狙う自治体からの引き合いは強い」と分析していますが、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた業界の雇用維持策の側面もあったようです。
本業以外の仕事に就く副業への関心は年々高まっており、厚生労働省は2018年にモデル就業規則を改定して副業を原則容認する方針に転じました。
パーソル総合研究所(東京・港)の2023年の調査では社員の副業を容認する企業の比率は60%に達しています。
こうした動きには、副業を通じて専門スキルを別分野で生かしたり、リスキリング(学び直し)につなげたりする期待があり、柔軟な働き方を取り入れ、人手不足に対応する意味合いもあります。
人事院は国家公務員と民間企業の人材交流も促しており、2022年に交流制度を利用して中央省庁などに出向した民間人材は378人を数え、過去最高となりました。2000年の人事交流制度の開始から2022年末までの23年間でに3211人がこの制度を使いました。
今回は、総務省が会社員の自治体への副業を働きかけるという動きでしたが、国家公務員や地方公務員の中でも全国各地で副業の動きが広がりつつあります。
こうした流れを受け止めるため、公務員の兼業許可基準の明確化を行う自治体もますます増えてくるでしょうし、公務員の副業がますます広がりそうです。
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