関東経済産業局の副業にまつわる話題から
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤重人です。
当職は全国各地で取り組まれ拡がりつつある「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。
全国各地で地方公務員の副業許可制度の導入が拡がりをみせつつあり、今後も大きな拡がりをみせていきそうです。
今回は経済産業省の出先機関である関東経済産業局の副業にまつわる話題です。(日本経済新聞電子版 関東地域 令和5年11月14日から)
関東経済産業局が、管内1都10県のスタートアップ拠点に職員を派遣し、テレワークをする取り組みを2023年度から本格化しているそうです。
駐在する職員は適切な補助金制度などを起業家らに紹介し、利用につなげてもらうのが狙いです。局内での副業の側面も強く、職員の新たなスキルや知識の習得につながる可能性があるということです。
庁内で推進しているのは、同局の中で職員の新たな働き方を模索する「KANTO DUO(デュオ)」のプロジェクトの一つ。オープンイノベーションの担当課や総務部など、幅広い所属の職員でチームを結成しました。
若手から管理職クラスのベテランまで、年代も様々で、駐在する職員は所属部の業務などをテレワークでこなしつつ、入居する起業家らのニーズに応じた支援策を提案します。
関東経産局の職員は群馬県庁(前橋市)の中にある「NETSUGEN」や長野県塩尻市の「スナバ」など10カ所以上の有力スタートアップ拠点に足を運び、駐在の方法を模索してきたそうです。このプロジェクトに参加する産業技術革新課の幸物正晃課長は「問い合わせを待つのではなく、自ら伝えに行くことが必要だ」と語っています。
時間を決めて個別で相談窓口を設ける職員もいれば、セミナー形式で補助金の対象や申請方法などを説明する職員もいるということです。
職員の派遣先での動き方は様々ですが、原則は毎月1回以上、拠点に足を運んでいる点では共通しています。
職員から資金を集め、共通のTシャツを製作するなど、現地コミュニケーションを円滑化するための工夫もしています。
企業のサービスや商品の魅力、経営者の熱意などはオンラインの面談だけで全て理解できるわけではありません。
「職員の人的資源に限りがある中でも、新型コロナウイルス禍で奪われた『手触り感』を取り戻したい」(幸物課長)という問題意識もあり、地元の起業家や伴走支援のメンターらと膝をつき合わせて協議し、信頼関係を構築しています。
成長した企業が後輩の起業家らに資金調達のノウハウなどを提供し、事業拡大の過程で投資家やベンチャーキャピタル(VC)などが集まる「エコシステム(生態系)」は東京に集中しています。
経済産業省が2022年11月に策定した「スタートアップ育成5か年計画」は、人材ネットワークの構築や資金供給の強化などを中心に据えており、関東経済産業局は地方でもエコシステムの拡大を狙っています。
プロジェクトでは、地方発スタートアップを発掘しつつ、同局のネットワークを活用して地方の起業家と東京の出資者をつなぐことも想定しています。
この取り組みでは職員の「多能工化」も視野に入れます。
千葉県柏市の柏の葉オープンイノベーションラボ(KOIL)には、総務課の女性職員が駐在しています。この女性職員は局内の調整業務が中心で、外部とのやりとりは少なかったということで、以前は宇宙産業の支援などを担当しており、現在も関心があるといいます。
柏の葉にはKOILだけでなく、周囲に企業や研究機関が集積しており、近隣住民も官民による実証実験などに積極的に関わっています。こうした環境で支援にあたることで「自分のキャリアの軸をつくることができるのではないか」(同職員)と期待しているそうです。KOILにはイベントスペースもあり、今年度内にセミナーの開催を目指しているということです。
今回は、経済産業省の出先機関である関東経済産業局の副業に関連する動きでしたが、国家公務員にかぎらず、地方公務員の中でも全国各地で副業の動きが広がりつつあります。
こうした流れを受け止めるため、公務員の兼業許可基準の明確化を行う自治体が増えてきていて、公務員の副業が拡ますます広がりそうです。
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