人事院の諮問会議、国家公務員の副業も論点に!
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤重人です。
当職は全国各地で取り組まれ拡がりつつある「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。
全国各地で地方公務員の副業許可制度の導入が拡がりをみせつつあり、今後も大きな拡がりをみせていきそうです。
国家公務員法に基づいて人事行政に関する公正の確保や国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどっている「人事院」の動きについて考えていきます。
すなわち、「国家公務員の存在意義」を再考するという狙いでしょうか。
人事院は9月25日、公務員制度のあり方について議論する「人事行政諮問会議」を立ち上げました。給与や働き方といった課題を横断的に話し合う有識者会議の設立はじつに25年ぶりといいます。
(1)人事院がなぜ今、公務員制度を議論?
国家公務員の働く環境は良好とはいいがたい状況です。国会答弁の作成作業などで残業が多く、給料も大手企業に比べて見劣りするとされています。
諮問会議では、「ブラック霞が関」と揶揄(やゆ)される国家公務員の職場環境の改善をめざすということです。
国家公務員は就職先として魅力が薄れてきており、キャリアと呼ばれる総合職の試験申込者数は10年で2割ほど減っっています。
また、退職者も増加傾向にあり、2021年度に辞職した一般行政事務などを担う「行政職俸給表(一)」が適用される職員数は10年前と比較して倍増しています。入省5年未満の退職率も2016年度の採用者で10%と、3年前に比べて5ポイント上昇しているということです。
こうした状況が続くと国としての業務に支障が出て、国力そのものを毀損しかねず、「ブラック霞が関」の打破はこうした危機感を背景にしています。
(2)諮問会議は何を話し合う?副業も論点に!
諮問会議では、公務員の働き方や給与といった公務員に関する課題を総合的に議論するということです。
人事院の川本裕子総裁は会議の設置にあたって「聖域を設けることなく骨太かつ課題横断的な議論をする」と強調しています。
注目の一つは民間企業で導入が進むパーパス(存在意義)に相当するような行動規範の導入です。国家公務員法は職務内容を定めるものの、公務員のあるべき姿を明示していません。
めざすべき方向性を共有し、職員それぞれが「やりがい」を再認識する――。そうすれば職場が活気づき、離職の防止につながるという期待が人事院にはあるようです。
議論する主な項目は8月に公表した2023年度の人事院勧告に盛り込まれています。そこには、在宅勤務手当の導入や「選択的週休3日制」の対象拡大などがあります。
翌日の業務開始までに一定時間を確保する「勤務間インターバル」の導入も人事院勧告には記されています。職員の成長につながる兼業のあり方に関しても協議する見通しです。
(3)検討の内容どう生かす?
人事院は今年8月、民間企業から国家公務員に転職した人から中途採用に関する提言を受け取りました。
諮問会議は2024年春に中間報告、同年秋をめどに最終報告をまとめる見込みで、最終報告の内容は2025年度の人事院勧告への反映をめざしています。
この諮問会議(公務員制度に関する有識者会議)の設置は1998年以来となります。1998年当時は公務員を巡る贈収賄事件が相次いでいて、公務員への処分を厳しくすることや、再就職先の透明化などの措置につながりました。
公務員の副業・兼業の波が拡大か
公務員の兼業許可基準の明確化を行う自治体が増えきており、それに伴い、公務員の副業が拡がりをみせてきています。
今回設置された諮問会議で「国家公務員の副業・兼業」が議論され、人事院勧告に反映されていけば、今まで以上に「公務員の副業」の流れが大きなものになる可能性が高いのではないでしょうか。
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