行動促す「ナッジ」普及に奔走
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤重人です。
全国各地で取り組まれ拡がりつつある「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。
全国各地で地方公務員の副業許可制度の導入が拡がりをみせており、この流れは今後も拡がりをみせていくことが期待されます。
前々回、前回のブログに引き続き、日本経済新聞「お役所仕事」と侮るな!シリーズです。
「行政の思い、私が届ける 行動促す「ナッジ」普及に奔走」(日本経済新聞 2023年5月28日付け「お役所仕事」と侮るな!)の話題から紹介していきます。記事の概要は以下の通りです。
文章やデザインなどをちょっと工夫するだけで望ましい行動選択を促す「ナッジ」。お金をかけずに政策効果を高めるツールとして関心を寄せる自治体が増えています。横浜市職員の長沢美波さん(36)は2人の子どもを育てながら、NPO法人「Policy Garage(ポリシーガレージ)」の事務局長として庁内外でナッジ普及にも取り組んでいます。
2022年春、第2子妊娠中の長沢さんはつわりの症状に苦しみながら、ポリシーガレージ初の著書となる「自治体職員のためのナッジ入門」を執筆していました。執筆中は起き上がるのもつらかったが、9月の出版から半年足らずで増刷がかかりました。「全国にナッジが広がるきっかけになればうれしい」とほほ笑みます。
自治体はさまざまな行政サービスを提供していますが、思うように住民に利用してもらえないケースも多くあります。ナッジはヒトの心理のクセに着目してこうしたジレンマを解決することが可能です。
例えば、横浜市では生活習慣病リスクのある人に送る健康支援プログラムの封書の文言を「この機会を逃すと数万円相当のプログラムを受けられなくなる」とお得感を訴える内容に見直したところ、2割だった開封率が8割近くに上がりました。
ポリシーガレージはナッジに関心のある全国の自治体職員や研究者らをネットワーク化し、こうした事例の勉強会や基礎的な研修、自治体内の推進組織立ち上げなどを支援しています。メーリングリストの登録人数は1000人を超えています。また、長沢さんの初の著書は活動の集大成ともいえます。
長沢さんは本業の公務員の業務と子育てを抱えながら、事務局長としてNPOの設立から運営まで一手に切り盛りしてきました。NPO副代表の高橋勇太さんは「安定感はメンバーのなかでも一番。ポリシーガレージにとっても母のような存在」と絶大な信頼を寄せています。
元テニス部長の誘いでナッジの道へ
「横浜市行動デザインチーム(YBiT)っていうのができたんだ。いつやめてもいいからとりあえず来て」。2019年4月、育休から復帰したばかりの長沢さんを手荒い勧誘が待っていました。誘いの主は高橋さん。実は2人は高校時代の先輩後輩で、テニス部の部長とマネジャーという間柄でした。
YBiTは中央省庁から横浜市に出向していた津田広和さんが2019年2月に創設、ナッジの行政現場への応用を目指す職員有志の集まりで、全国の自治体で初の推進組織でした。
2009年の入庁以来、高齢者支援など福祉分野でキャリアを積んできた長沢さん自身も「行政サービスが住民に届かないもどかしさがあった」ということです。大学で心理学を学んでいたこともあり、YBiTの活動は興味深く映りました。夫の理解も得て公務員と子育てとYBiT、3足のわらじを履く生活が始まりました。
YBiTの活動は昼休みや通勤時間といった限られた時間を使って、10人ほどのメンバーと専門書の輪読や先行事例の研究に取り組みました。心理学の素養も生きたのか、みるみる知識を身につけ、市役所内や他自治体でナッジの講師役を買って出るまでになりました。
「活動を終わらせない」NPO化に奔走
やりがいを感じる一方で、課題も浮上してきました。全国初の自治体版ナッジ推進組織のYBiTには講演や導入支援の依頼が殺到。
有志の職員だけで活動を続けるのは限界になりつつありまし。加えて、創設者の津田さんが中央省庁に戻る時期も迫っていたのです。
「ナッジは公務員に必須の知識になる。打ち上げ花火のように普及活動を終わらせるわけにはいかない」。危機感を抱いた長沢さんは、津田さんや高橋さんとともにNPOの設立に走り出します。
ナッジに詳しい研究者や経営者らに理事就任を打診する一方、本業でNPO設立に携わった経験から申請書類の作成も一手に引き受けました。
周囲の期待をプレッシャーに感じた津田さんが弱音を吐くこともありましたが、長沢さんは「どれだけの人を巻き込んでると思ってるんですか」と一喝、悩む津田さんを励まし続けました。
そして2021年1月、津田さんを代表理事、長沢さんを事務局長としてポリシーガレージは誕生しました。
NPO化をきっかけに活動の幅は格段に広がり、高橋さん、津田さんと執筆した入門書には想像以上の反響がありました。
「自分と同じように日々現場で悩んでいる自治体職員の力になりたいし、パラレルキャリアを目指す後進の女性のロールモデルにもなりたい」。思いを新たに、長沢さんは3足のわらじを履き続けていきます。
以上が『「お役所仕事」と侮るな!行政の思い、私が届ける 行動促す「ナッジ」普及に奔走』の概要でした。
前回ブログもそうでしたが、日本の公務員には、スーパー公務員が各地にいらっしゃるのですね~!
アフターコロナで公務員副業も前進か!
新型コロナ感染症対策も大幅に緩和され、多くのイベントなども再開されるようになっていきました。
今後、多くの自治体で「公務員の副業許可制度の基準明確化」が図られることが見込まれますので、基準が明確化されれば、これを活用することで、こうした各種の活動にも取組みやすくなってくることでしょう。
地域振興を目指し、公務員副業制度を活用して「地域活性化のためのソーシャルビジネス」を検討することも大いに価値あることではないでしょうか。
公務員として地域貢献していくことに加えて、「公務員の副業」と「ソーシャルビジネス」を見据えてアクションを起こすのも大いにアリではないでしょうか。
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