公務員、スタートアップ支援組織を自らつくる!
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤重人です。
全国各地で取り組まれ拡がりつつある「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。
全国各地で地方公務員の副業許可制度の導入が拡がりをみせており、この流れは今後も拡がりをみせていくことが期待されます。
前回のブログに引き続き、日本経済新聞「お役所仕事」と侮るな!シリーズです。
「型破り公務員、スタートアップ創出 支援組織自らつくる」(日本経済新聞 2023年5月29日付け「お役所仕事」と侮るな!)の話題から紹介していきます。記事の概要は以下の通りです。
型破り公務員、スタートアップ創出 支援組織自らつくる
「この商品の市場はどこを狙っているの?」
5月の日中、愛知県経済産業推進監の柴山政明さん(59)の姿が県の新興企業支援施設「プレ・ステーションAi」(名古屋市)にありました。シェアオフィス内のスタートアップの経営者に矢継ぎ早に質問し、アドバイスをします。
ボランティア希望の学生と福祉施設のマッチングアプリを手がけるスタートアップ、musbun(名古屋市)の鈴村萌芽代表は「提携できそうな大学を紹介すると言われた。うれしい」と話していました。
柴山さんは県のスタートアップ政策を一手に引き受け、新興企業の資金調達、人材獲得、伴走支援のプロジェクトを続々と立ち上げます。経済産業推進監は局長級のポストですが、日ごろから現場に足を運んでスタートアップの経営者らと積極的に言葉を交わします。
スタートアップが自社の事業をプレゼンするピッチイベントではダメ出しをいといません。事業に成長性がないと判断すれば、事業転換を促すこともあります。視点は公務員というよりコンサルタントや投資家に近いイメージです。
県庁の「半地下」と超越的な人事
柴山さんが愛知県でスタートアップ支援施策を立ち上げたのは中小企業金融課長だった2018年。社会課題の解決には行政だけでなく、斬新なアイデアを生み出す民間の力が必要だと思ったからです。2019年9月にスタートアップ推進課が発足、自ら同課長に就任しました。
与えられた仕事場は当時、会議スペースとして使われていた県庁本庁舎の地下1階。地上からの光がわずかに差し込む県庁の「半地下」、柴山さんは「私たちが縁の下の力持ち」と取り組みました。
愛知は自動車産業をはじめとする製造業が盛んで、安定的に雇用を創出してきたこともあり、スタートアップが育たないといわれてきました。だがその車産業は電動化への産業構造の転換期にあります。愛知県の大村秀章知事は「自動車産業で日本経済をリードしてきたが、デジタル化の波が押し寄せる中、スタートアップで産業構造を変えたい」と話しています。
柴山さんは2020年4月にスタートアップ推進監(部長級)、2022年4月に革新事業創造部長、2023年4月に現職に就きました。役職は変わりましたがスタートアップ施策を引っ張る仕事の中身は変わっていません。実は、直近4つの役職は柴山さんが初代です。自ら組織をつくり、トップを務めてきました。定期異動で仕事が大きく変わることの多い役所では異例といえます。部下は「柴山さんの人事はいつも超越的」と舌を巻きます。
入庁24年後にMBA取得
柴山さんは愛知県春日井市出身。名古屋の繊維大手の会社員の家に生まれました。親が購読していた経済紙などを小学生の時から読み、世の中の動きに敏感でした。大学時代は地元民放でアルバイトをしました。番組づくりに携わり、そのまま就職する道もありましたが「社会課題を解決したい」と1986年、愛知県に入庁しました。
官民連携の考え方がこれからの行政の主流になると考え、2008年から2年間、休日に名古屋商科大学ビジネススクールに通って経営学修士号(MBA)を取得。「民間企業のことを知らないと、官民連携なんてできないと思った」と話します。
平日に退庁後、夜な夜な上場企業の経営戦略をつくる宿題に取り組みました。この経験がスタートアップを支援する今の仕事に大きく生きているといいます。
2013〜2018年には3年間、南山大学大学院で行政と民間企業の世界を融合する学問領域である総合政策を学びました。授業代はもちろん自費、リスキリングに投資を惜しみませんでした。
脚のケガで動けなくなって浮かんだアイデア
現在、愛知県を含めた県内公的機関による新興企業支援プログラムは179あり、このうち県主導だけでも62の事業が動いています。支援施策の中核が県が2020年に開設した「プレ・ステーションAi」で、名古屋駅近くのシェアオフィスを間借りしています。
2024年にはソフトバンクと組んで日本最大級のスタートアップ育成拠点「ステーションAi」を名古屋市内に竣工する予定です。
柴山さんは「ステーションAiのアイデアは、休日のテニスで右脚が肉離れを起こし、全く動けなかったときに浮かんだ」と笑います。世界のスタートアップがどのようにパートナーシップを結び、技術や知識などそれぞれの強みを生かしているかを分析、2日で企画書をつくったそうです。
2022年にソフトバンクグループが愛知の新興企業に投資する10億円規模のファンドを組成し、愛知県も2億円を出資しました。2023年度には愛知の新興企業で働きたい人材を集めたデータベースも立ち上げる予定です。これらによりヒト・モノ・カネを網羅して支援する体制が整うことになります。
柴山さんは「スタートアップの成長はもちろん、既存の企業とのオープンイノベーションを通じて、様々な社会課題を解決したい」と話します。
柴山さんに対するスタートアップ関係者からの信頼は厚く、プレ・ステーションAiの統括マネジャーでエンジェル投資家の篠原豊さんは「柴山さんがいないと愛知のスタートアップ施策は回らない。戦略の骨子作成や情報収集、予算獲得、組織化を全部1人でこなす」と驚きます。
部局前提の仕事に価値なし
柴山さんの口癖は「役人なんて大嫌い」で、いわゆる「お役所仕事」を嫌っています。「取り巻く社会環境が変わっているのに、同じことを続けて見直しをしないのはおかしい」と県庁の他部局にまたがるフィールドにも首を突っ込んでいきます。
2022年に立ち上げた「あいちデジタルヘルスプロジェクト」はその一つ。デジタル技術を活用し、産学官で健康寿命延伸や高齢者の身体機能低下を防ぐ研究と実証をするものです。福祉局にまたがる業務内容だが「部局を前提に仕事することに価値はない」と断言します。
そんな柴山さんも2024年3月末で役職定年を迎えます。定年延長で庁内にとどまることも可能です。周囲の関心は柴山さんが今後何をするのかに向くが、本人は「まだ分からない」とけむに巻きます。異色の公務員は少なくともあと10カ月、革新的なスタートアップの創出に向けて「爆走体制」で突き進みます。
以上が『「お役所仕事」と侮るな!型破り公務員、スタートアップ創出 支援組織自らつくる』の概要でした。
世の中(日本)には、柴山さんのようなスーパー公務員がいらっしゃるのですね~!
そして柴山さんの熱意に人事面で応える愛知県も素晴らしいですね!
柴山さんの今後の身の振り方も気になりましたが、柴山さんのように定年が近い方々の身の振り方も気になります。
安易に再任用を考えるのか、それとも自分で何かにチャレンジするのか、ご自身の身の振り方をもう一度考えてみてもよいかもしれませんね。人生100年時代、定年後もまだ長い時間が残されています。
定年後の身の振り方を公務員副業で考える!
今後、多くの自治体で「公務員の副業許可制度の基準明確化」が図られることが見込まれますので、基準が明確化されれば、これを活用することで、定年後の身の振り方を考える機会になるかもしれません。
公務員を経験していたわけですから、公務員副業制度を活用して「地域活性化のためのソーシャルビジネス」を検討することも価値あることではないでしょうか。
こうした「ソーシャルビジネス」の取組みは、地域の活性化にもつながりますし、定年後の行動のやりがいにも結び付くことでしょう。
近い将来、定年する公務員も「公務員の副業」と「ソーシャルビジネス」を見据えてアクションを起こすべき時期かもしれません。
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