公務員、副業で地域商社を興す!
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤重人です。
全国各地で取り組まれ拡がりつつある「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。
全国各地で地方公務員の副業許可制度の導入が拡がりをみせており、この流れは今後も拡がりをみせていくことが期待されます。
今回のブログでは、栃木県の地方公務員の活躍ぶりを知らせる報道(日本経済新聞 2023年5月28日付け「お役所仕事」と侮るな!公務員、副業で地域商社 異動の壁越え和牛ブランド化へ)の話題から紹介していきます。記事の概要は以下の通りです。
地域を活性化しようと新規事業を立ち上げても人事異動で泣く泣く途中離脱――。公務員なら誰もが経験する悩みに対し、栃木県茂木町の職員の東海林帆さん(40)は副業で活路を見いだしました。
役場仲間とともに設立した地域商社を通じて、地元で育った和牛のブランド化や間伐材の直販に挑んでいます。
「牛肉本来の赤身のうまみが味わえる」。フレンチのオトワレストラン(宇都宮市)や高級ホテルのザ・リッツ・カールトン日光(日光市)といった栃木県内の名だたるレストランのシェフが太鼓判を押す牛肉が存在します。茂木町の瀬尾亮さんが育てる「もてぎ放牧黒毛和牛」がそれです。
牛舎ではなく耕作放棄地を再生した牧草地でのびのびと育てたウシは、肥育後も脂肪が付きにくく、赤身のうまみが凝縮されるといいます。もてぎ放牧黒毛和牛と銘打って出荷を始めたのは2021年。これまでに12頭を出荷しました。
いまでこそ引っ張りだこの瀬尾さんの牛肉ですが、以前は市場に出荷していて知名度は全くありませんでした。
サステナブル(持続可能)な飼育法に注目し、市場を介さず直販することを瀬尾さんに提案したのが、東海林さんです。
東海林さんたちは、クラウドファンディング(CF)で食肉加工に必要な資金を集めるとともに、オトワレストランの協力でシェフを集めた試食会も実現。手探りの活動ながら少しずつ販路を広げつつあります。
瀬尾さんは「育て方に自信はあったが、きちんと評価してもらえたのは東海林さんたちのおかげだ」と感謝しています。
茂木町は栃木県の南東部に位置する人口1万1000人ほどの小さな町です。アスレチックやレース場などの複合施設「モビリティリゾートもてぎ」や道の駅といった集客施設はあるものの、多くの中山間地と同様に人口減と高齢化に直面しています。
「20年後この町はどうなってしまうんだろう」。東海林さんは危機感をともにする役場仲間とともに2020年4月に、地域商社「Social Up Motegi(ソーシャルアップモテギ、SUM)」を立ち上げました。
企業誘致のような一発逆転を狙うのではなく、地域の埋もれた資源を掘り起こして産業育成や雇用創出につなげることを目指しています。
商社といっても株式会社ではありません。役場の兼業規定への抵触を避けるため、非営利の一般社団法人とし、東海林さんらも無報酬で活動しています。
活動は帰宅後や休日に限られ収入もないものの、公務員の立場や人事異動に関係なく自由な発想で腰を据えて事業に取り組んでいます。
東海林さんは町内産のスギとヒノキの間伐材のブランド化にも乗り出しています。県内の木材市場に卸すのではなく、工務店などに直販することで町内産木材のブランド化につなげる狙いで、初年度の2022年度は町内の2事業者が購入を決めました。
成功例ばかりではありません。道の駅のSNS(交流サイト)の運営代行は思うような成果を出せずに契約を打ち切られもしました。
町内産の木材を使った積み木玩具も販売は伸び悩んでいます。それでも東海林さんは「静観していても何も変わらない。とにかく行動して変化を起こすことが大事だ」と話します。
東京都出身の東海林さんが茂木町を初めて訪れたのは、2008年のことでした。大学卒業後に食品商社に就職したものの、食糧問題への関心から大学院に進学。研究の一環で町内の耕作放棄地や山林を何度も訪ねるうちに、懇意にしていた町農林課の課長に誘われIターン就職を決めました。
満員電車と残業でへとへとになる食品商社時代とは打って変わり、町役場の仕事は単調で「物足りなく感じることもあった」といいまう。
与えられた仕事をこなせば生活はできるものの、2人の子どもが20年後も住みたいと思える町を残せるだろうか――。2019年から職場で始めた地方創生の勉強会が、地域商社SUMの原点になりました。
活動を冷ややかに見る向きもあったが、実績を積み重ねるうちに「役場内の空気も変わってきた」(東海林さん)といいます。当初4人だったメンバーは11人に増え、美大出身の新メンバーがもてぎ放牧黒毛和牛のロゴをデザインするなど活動の幅も広がりをみせています。
「一代限りで終わらせないでね」。最近、町でそんな言葉をかけられたそうです。SUMに対する期待をうれしく思う半面、活動を続ける責任も感じています。「究極の目標は町に仕事をつくって雇用を生み出すこと」と話す東海林さん。地域商社マンはきょうも新規ビジネスの種を探して町内を飛び回っています。
以上が『「お役所仕事」と侮るな!公務員、副業で地域商社 異動の壁越え和牛ブランド化へ』の概要でした。
記事の内容から栃木県茂木町は、町職員の副業許可基準の明確化は行っていないようです。
役場の兼業規定への抵触を避けるため、非営利の一般社団法人を設立し、東海林さんらも無報酬で活動しているということです。
今後は多くの自治体で「公務員の副業許可制度の基準明確化」が図られることが見込まれます。基準が明確化されれば、このような意欲ある活動も取り組みやすくなることでしょう。
無報酬での活動ということですが、今後は「地域活性化のためのソーシャルビジネス」に活用することも十分考えられるのではないでしょうか。
こうした「ソーシャルビジネス」の取組みは、地域の活性化にもつながりますし、自治体職員の柔軟な発想にも結び付くことが予想されます。
他の地域でも、「公務員の副業」と「ソーシャルビジネス」を見据えてアクションを起こすべき時期かもしれませんね。
NEW
-
query_builder 2024/07/11
-
公務員の副業を応援する取り組み – 地域と共に成長するために
query_builder 2024/05/21 -
日本における「副業・複業」、自治体で育つか?「月1回出勤」が解禁
query_builder 2024/04/12 -
会社員の副業、自治体で副業しやすくなる?
query_builder 2024/03/01 -
これからの公務員副業は?
query_builder 2024/01/21
CATEGORY
ARCHIVE
- 2024/071
- 2024/051
- 2024/041
- 2024/031
- 2024/011
- 2023/121
- 2023/111
- 2023/101
- 2023/091
- 2023/082
- 2023/072
- 2023/062
- 2023/051
- 2023/043
- 2023/032
- 2023/024
- 2023/015
- 2022/124
- 2022/114
- 2022/105
- 2022/094
- 2022/083
- 2022/075
- 2022/064
- 2022/055
- 2022/044
- 2022/035
- 2022/027
- 2022/0110
- 2021/1210
- 2021/1127
- 2021/1031
- 2021/0931
- 2021/0831
- 2021/0733