公務員の副業レストラン開店!

query_builder 2022/12/19
ブログ
公務員の副業許可

こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤です。
全国各地で取り組まれ拡がりつつある「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。


NHK長野放送局の10月28日付Web特集記事に、現職の長野県庁職員がオープンさせたレストランの話題が掲載されていましたので、今回はこの話題をご紹介します。


南アルプスのふもと、山梨との県境に位置する長野県大鹿村。人口1000人に満たないこの村で、地元の食材にこだわったレストランが本格オープンし、SNSでも話題になっています。このレストラン、地元出身の男性が「副業」としてオープンしたのですが、その本業は、飲食店のイメージからかけ離れた意外な職業でした。


出店を企画したのは、大鹿村出身で今は長野市で暮らす北澤淳さんです。飲食店を立ち上げるのは今回が初めて。レストランはあくまで「副業」だといいます。そんな北澤さんの本業は、なんと県庁で働く公務員です。

現在は県民協働課に所属し、民間企業などと県をつなぐ窓口の業務を担っています。

北澤さんは、基本平日は県庁で仕事をして、土日を使って月何回か帰って(店を)やるというのを続けているそうです。

長野県は4年前に「社会貢献職員応援制度」をつくり、「公益性の高さ」や「報酬額が妥当であること」などを条件に、公務員の「副業」を認めています。

これまでに、この制度を使って副業に取り組んだ職員は約30人。その内容は、スキーのインストラクターや、学校の部活動の外部指導者など多岐に渡りますが、レストランを出店したのは北澤さんが初めてです。

北澤さんの上司で県民協働課今井課長も副業で視野が広がることに期待しており、こう話しています。
「これからの時代の中で民間の視点をもって課題解決していくのは大切です。副業の経験をいかして本業にも取り組んでもらいたい。」

北澤さんのレストラン出店の最大の動機は、大鹿村の将来への危機感でした。37歳の北澤さんが生まれた頃、村の人口は約2000人。しかし若者の流出が止まらず、今は1000人を切っています。

北澤さんは、「この村で生まれ育ち、いい村だと思ったんですけど、人口も減っていくし、なかなか元気がないなと感じていたところで、自分でも何かできないかとずっと思っていました」と話しています。

北澤さん自身、村を出て長野市で県庁職員として暮らしていますが、レストランを出店すれば、村への観光客の呼び込みに貢献できると考えました。申請を受けた県庁は、過疎の村の活性化に向けた出店であれば「公益性」が高いと判断し、副業として認めることになりました。

さっそく出店準備にかかった北澤さん。おととし、元々そば屋だった空き店舗のテナント募集に応募しました。

さらに地元の後輩で飲食店での勤務経験がある松澤莉央さんに声をかけました。松澤さんが店長兼シェフとしてメニューの考案などを行い、北澤さんは開店のための事務手続きなどを担当しました。

開店に向けた最初の難題は資金調達でした。店の改装などには約800万円が必要で、手持ちの資金だけでは賄えません。そこで、インターネットを通じたクラウドファンディングを活用することにしました。村を活気づけたいという北澤さんたちの熱意が共感を呼び約300万円の寄付が集まりました。

開店に向けた準備では、民間の苦労を垣間見る一幕もありました。営業許可をはじめとした国や村などへの書類提出は10回近くに上りました。外から見た行政の手続きは思っていた以上に煩雑でした。

北澤さんは「公務員がこうして事業をやるからこそ見えてくるやりづらさとか、もっとこうした方が良いんじゃないかという行政に対する目線もあります」と話しています。

大鹿村の魅力はなんといってもその風景。中央アルプスが正面からのぞめるように、テラス席の配置やデザインにこだわりました。“写真映えスポット”として、訪れた人にSNSで発信してもらい、特に若い世代に大鹿村への関心を高めてもらうのが狙いです。


北澤さんは、「こんなに多くの人が来てくれてありがたいです。(副業で)民間感覚とか、物事を見ることができるチャンスが増えてきました。県の立場だとこれが良いけど、民間の立場だとこれが良いみたいな、そういったところのズレにも気づけるようになりました。本業と副業とのバランスを保ちながら負担になりすぎないようにやっていきたい」と語っています。

NHK長野放送局記者の取材後記として以下のコメントが添えられています。


レストランがあるのは、大鹿村の中心部からさらに車で30分ほど山道を登った、まさに“秘境”とも言える場所でした。最初は「本当にこんな場所に人が来るのだろうか」と疑問に思っていた私も、北澤さんの店にかける思いを取材するうちに考えを改めていきました。村を盛り上げるために副業という道を選んだ北澤さん。この時代、働き方や地域貢献の仕方は無数にあるのだと取材を通じて気づかされました。


今回のこの取り組み。まさに寂しくなりつつある村の活性化をはかるためのソーシャルビジネスとして位置付けられるのではないでしょうか。このビジネスが本業の公務員としての業務にも生かせていけるのではないでしょうか。なかなか大変なことも多いと思いますが、北澤さんの勇気に頭が下がります。


長野県庁の「社会貢献職員応援制度」を活用した公務員「副業」をバラエティに富んできました。

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