塩尻市の公務員副業制度の特徴は?⑤

query_builder 2022/09/11
ブログ
公務員の副業

こんにちは。ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤です。

全国各地で取り組まれつつある、「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。

今年度から制度化された長野県塩尻市の公務員副業制度の特徴について私見を述べていますが、今回はその5回目です。

1 分かりやすい具体的な副業の例示
新たに明確化された副業の具体例4ケースのうち、最後の【ケース4】についてです。

【ケース4】自分で法人を設立したい
・地域資源の活用、市内活性化、市内の伝統・特産の伝承など地域貢献性が多分に認められる場合において、販路の新規開拓や付加価値のある新たな商品を取り扱うための法人の設立を認める。
※当該ケースでは想定される具体例は示されていません。


地域貢献性が多分に認められる場合は「法人設立」を認めるとしています。「法人」には株式会社や合同会社のような営利法人、一般社団法人やNPO法人、社会福祉法人のような非営利法人などがあります。


塩尻市の副業許可基準では、「法人」としているだけですので、営利法人、非営利法人のどちらでも許可される可能性があります。


ここで、非営利団体の「一般社団法人」ですが、これは必ずしも「公益的」な事業を行う必要はありません。
一般社団法人が行う事業の内容に制限はなく、株式会社や合同会社などの営利法人と同様に、基本的にはどのような事業でも自由に行うことができます。
非営利という言葉は「ボランティア」や「公益事業」といったものを想起しますが、そういうことではありません。

すなわち、一般社団法人は、「非営利性」さえ担保しておけば、「収益」を上げることのみを目的とすることも、法人内部の「共益」だけを目的とすることも可能です。

「非営利」は、ボランティアや公益事業を指すわけではなく、余剰利益を分配しないことを言います。(株式会社は、会社が儲かれば株主に余剰利益を配当することができますから「営利法人」になります。)

単に余剰利益の分配をしてはいけないだけですから、利益を上げること自体は可能ですし、もし余剰利益が出た場合でも、分配するのではなく、次の事業年度に繰り越して事業のために使えば大丈夫です。もちろん、一般社団法人の役員や従業員に役員報酬、給与を支給することも可能です。


塩尻市の副業許可基準では、「地域貢献性のある営利企業等への従事」まで幅を広げていますので、どのような形態の法人であっても「地域貢献性」が認められれば許可になりそうです。


このように法人形態を限定しなかったことは、地域貢献性のあるソーシャルビジネスの可能性を広げることになり、多様なソーシャルビジネスが生まれてきそうです。


塩尻市といえば、国内でも優良なワイン用ブドウが生産されることでも有名で、国際ワインコンクールでも毎年多くの賞を受賞しています。こうしたワイン関連業界のビジネスなども非常に可能性がありそうです。


塩尻市の副業許可基準は「法人設立」まで言及しているのは、画期的であり、先進性が認められます。公務員の退職後の進路を決める際にも、「自らの起業=法人設立」という視点があり、在職中から準備できるとしたら、それは素晴らしいことではないでしょうか。


公務員の副業許可には、あくまでも「地域貢献性」が重視されますので、その観点をよく理解して取り組むことが大切になります。

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