公務員の副業・兼業のあり方㉙
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤です。全国各地で取り組まれつつある、「公務員の兼業・副業」を支援する業務を展開しています。
私は今年3月まで長野県庁に勤務する地方公務員でした。2018年9月に制度化された長野県職員の兼業を応援制度「社会貢献職員応援制度」を活用し、県当局から兼業許可を得て、約2年間、取り組みを行ってきました。
長野県庁で2年間の「公務員兼業」活動に取り組んだ経験をもとに、「公務員の兼業・副業」についての現状と課題、今後の見通しについて考察していきます。
3 多摩・島しょ地域における公務員の副業・兼業のあり方
(8)「副業・兼業」による民間人材を活用した人材戦略の必要性
公務員が副業することで、自治体の認識が変わり、新たに民間の副業を受け入れる土壌ができる。
実際に、民間の人材サービス会社を通じて、副業・テレワークを前提とした民間人のキャリア採用の動きが広がりつつある。
福山市、余市町、能勢町、福井県、生駒市などの先進事例では、いずれも想定を大幅に上回る民間人材からの応募があり、民間人材 から大きな注目を集めている状況である。
このことは、官民を越えて人材の獲得・確保の競争が、今後一層激化していく可能性を 示唆しているといえる。
「副業・兼業」の促進は、労働市場のオープン化・流動化の側面 があり、現在のところは少数の先進自治体が優秀な民間人材の獲得・活用につながる「勝ち組」となっている。
しかしながら、今後「副業・兼業」を前提とした人材募集等の取組が多くの自治体に広がっていけば、単に「副業・兼業」を制度化しているだけでは優秀な民間人材を引き寄せることはできず、働く場としていかに魅力的な組織であるかが問われるようになる。さらにそれが、官民の境なく競われる時代が来ることが予想される。
生駒市は、2019年10月に 7 分野で副業・テレワークを前提とした外部人材の募集を行ったが、その対象には民間人材のみならず、国家・地方公務員も対象としており、自治体間での人材の奪い合いを先取りしているともいえる。
これを自治体の人事当局サイドから見れば、「副業・兼業」は職員のスキルアップや地域貢献の促進という側面だけでなく、自治体としての外部人材の活用・確保という人材戦略としての視点も重要となる。
その際には、「副業・兼業」により何を実現しようとする のか、ミッションの切り出し方が重要となる。地域経営における課題を、どのような人材を確保・育成することで解決していくのか、という人材戦略に置き換えて、短期間でいかなる人材に何の効果を求めるのか、を明確にし、採用戦略に反映させることが重要である。
次回は、「における公務員の副業・兼業のあり方」の「まとめ」についてご紹介します。お楽しみに!
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